横浜・元町の「ブラッスリー アルティザン」は、ボリュームたっぷりの料理が評判のブラッスリー。オーナーシェフの佐藤 剛さんはフランスで2年間、星付きレストランを中心に修業した。その間、「素直においしいと感じた」のは現代的なレストランの品よりも、勤務先のまかないで食べたシュークルートや鶏のロティといった家庭料理だったという。自店の店名に「アルティザン（職人）」と付けたのも、「派手さはないけれど味わい深い料理をくり返し作り、レベルを高めていく職人的な仕事に憧れを感じたから」と話す。
　物件を探す際、条件にしたのは約40席という規模だった。「選ぶ楽しさ」を重視して料理30種、デザート10種を揃える前提で、提供速度を速めるには厨房スタッフが3人は必要と判断。そこから逆算して、営業が成り立つ規模として割り出した数字だった。物件探しは難航し開業までに3年を要したが、その間に料理やワインの品揃え、料金構成をしっかりと固めた。その甲斐あって、オープン１年の現在まで、メニューや人員配置の変更はまったく必要なかったという。
　料理はアラカルト中心で、「アルティザンのパテ」1500円、「エイのムニエル 焦がしバターのソース」2400円、「鴨のロースト 赤ワインソース」3800円などを提供。また、フランスのブラッスリーを意識した「活オマール１尾、蟹、ホタテ等、豪華な魚介の盛り合わせ」6000円は、「赤字覚悟です（笑）」というぜいたくさもあり、グループ客に人気のメニューだ。夫人でサービス担当の恵美子さんが選ぶワインリストも、シャンパーニュがグラス1000円、ボトルは各国のビオワイン中心に約80種3000円台～とリーズナブルかつ多様な品揃えで、横浜のみならず東京方面からの集客にも成功している。