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INTERVIEW

DATA

東芝テック㈱
東京都品川区東五反田2-17-2
☎03-6422-7484
設立:1950年
資本金:399億円
事業内容:リテールやオフィスなど4つの分野で技術と人を結ぶソリューションを発信
http://www.toshibatec.co.jp/

 国内初の金銭登録機を発売した企業を戦前東京芝浦電気(現・東芝)が買収。50年に分離独立して設立された。当初の社名は東京電気器具㈱。1971年に電子レジスター『マコニック』の生産開始。77年にオフィスコンピューター生産開始。79年にPOSシステム国産メーカーとして初めて米国への輸出を手がけた。
 85年に特別地方消費税など飲食店独自の仕様を搭載したPOSレジスター『FS−2040』の生産を開始し、外食業へのサポートを開始した。87年には業界初の無線式OES『オーダーストリーム®』の生産を開始。91年セブン-イレブン・ジャパンに次世代型POSシステムを納入。94年オープンPOSターミナル『ST-5000シリーズ』の生産を開始。99年に商号を現在の名称に変更している。
 2011年5月、新たな飲食店向けPOSパッケージソフトウェアとして『FScompass®』をリリース。合わせて飲食店本部クラウドサービス『デジタルトレーニング®』の提供を開始した。

外食産業の未来を占う 産業を支えてきたビジネスサポーターたち
外食業の生産性向上に大きく貢献した
無線式オーダーエントリーシステムを開発

東芝テック㈱

リテールソリューション事業部専門
ソリューション統括部飲食システムソリューション部部長
牧山卓司

OESにより時間帯別の人員配置と作業割当表の作成可能。生産性向上につながります
──いまや外食業には欠かせないツールとなったのがオーダーエントリーシステム(OES)。御社は1987年に業界初の無線式OES『オーダーストリーム®』を開発しましたが、まずはその開発の経緯を教えてください。

 OESが登場した当初は、ハンディターミナルをカプラーに差し込む有線式でした。ただ、店内に数箇所カプラーを設置しているとはいえ、客席で注文を受けてからカプラーまで移動しなければならず、それがOES普及の障壁になっていたのも事実。ならば、カプラーまでの動線の短縮を図ればいいのではないかということから無線式システムの開発に至ったのです。弊社と外食との接点ということではエポックメーキングな製品だったと思います。

──すぐに普及したのでしょうか。

 いや、価格も高かったし、無線の申請も必要だったこともあり、最初は苦戦しました。伸びはじめたのは本部システムとの一体化を進めてから。弊社はもともとレジスターのメーカーでしたので、当初のシステムは店舗内の仕組みをメインに構築していたのですが、90年代に入ってパソコンやISDN回線が急速に普及したことから通信ネットワークを介して本部システムと連動したシステムの構築もできるようになりました。これが普及の契機になったと思います。
 たとえば昔のシステムにはワープロ機能がなかったので、いちいち文字コードを入力しなければなりませんでしたが、ネットワーク化したことからパソコンで入力し、オンラインで各店のPOSターミナルに流すだけで済むようになりました。ネットワークと組み合わせることで運用性能が大きく向上したわけです。
 当初は動線短縮が話題になったOESですが、徐々にそれ以外の機能が注目されるようになりました。
 従来のPOSは会計時点でのデータしか残りませんでしたが、OESと組み合わせることでオーダー時点のABC分析も可能となります。時間帯による出数の予測ができれば適正な人員配置や作業割当も作成できる。つまりワークスケジュールを組むことで生産性の向上を図ることができるわけです。また、手書き伝票や手打ち入力だとミスも起こるし、不正が行なわれる可能性もある。しかし、OESなら注文は自動的に厨房に流れますし、つくったものは必ず会計される。コンプライアンスという側面からも欠かせないものとなっており、ゆえに大手チェーンだけでなく、小規模店にも欠かせない設備になっているわけです。

──水商売と言われていた外食業が産業化を果たすうえで、OESは大きく貢献しているわけですね。

 最近のシステムでは、操作履歴を電子ジャーナルとして残すとともに、カメラとリンクしてレジまわりの撮影を行なうなどオペレーションの監査的な機能も搭載されています。不正を防止するだけでなく、映像データから接客の様子をチェックしたり、模範となる映像を各店に送信して参考にしてもらうなど、教育トレーニングに活用することもできる。これもネットワーク回線が光に変わり十分な余力があるから可能となったわけで、先ほどのISDN回線の登場と同じく、社会的なインフラが変わればPOS/OESもそれに連れて進化していくのです。

──その最新のシステムが、先日リリースされた新たなPOSパッケージソフトウェア『FScompass®(エフエスコンパス)』というわけですね。

 このシステムの一番の特徴はグラフィカルインターフェースのレベルを格段に向上させたこと。ハンディターミナルの割り付けも画面に実機イメージを表示してドラッグ&ドロップで設定できるなど、マスター管理もビジュアル化して簡単に操作できるよう心がけました。

──グラフィックにこだわった理由はどこにあるのですか。

 スマートフォンの普及に歩調を合わせるという意味もありますが、われわれが意識したのは年配の方々。カラフルで文字も読みやすく、サウンド面にも工夫しています。また、これまではヘルプ機能を呼び出すと画面が切り替わってしまいましたが、同システムは表示中の画面の脇にヘルプ画面が表示されるので、それを見ながら対処することができます。
 これからの外食には年配の方々の活躍が欠かせないと思いますし、こうした方々にもわかりやすい仕組みが不可欠。同様に外国人の方も増えると考え、多言語化にも対応しています。

──文字通り、「フードサービスの未来を示す羅針盤」なんですね。

 先ほど申しましたように、弊社はもともとレジスターのメーカーですから現場が出発点。現場での使い勝手にはこだわりを持っていますし、メーカー直販の利点として現場の声を直接拾い上げ、技術でフィードバックすることもできる。これは弊社ならではの強み。日本の外食は参入障壁が低く、いまだに多産多死型ですが、その中から伸びていくためにはオペレーションの効率化は不可欠。とくに中小の企業には弊社のシステムをご利用いただき、一緒に伸びていけたらと思っています。

──製品面以外での外食業へのサポートはお考えですか。

 エフエスコンパスのリリースに合わせて、クラウドサービスとして『デジタルトレーニング®』を開始します。実際の店舗とメニューを使用して撮影されたビデオ映像を相手に従業員の方がオーダーの手順をパソコン上でシミュレートするというシステムで、POSやハンディターミナルの操作技術を習得してもらいます。同時に、従業員のスキルも把握できるから、より的確な人員配置も可能となります。経営についてのコンサルティングはわれわれの守備範囲ではありませんが、接客に関わる機械の使い方などについては今後積極的に提案していくつもりです。
 
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