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INTERVIEW

DATA

㈱マルゼン
東京都台東区根岸2-19-18
☎03-5603-7111
創業:1961年3月
資本金:31億6495万円
事業内容:業務用厨房機器メーカーとして、特出した技術力で高度化するニーズにこたえていくこと
http://www.maruzen-kitchen.co.jp/

 1961年に創業し外食産業の発展とともに成長を遂げてきた㈱マルゼン。ガス厨房機器の開発でノウハウを築き、それを応用した技術開発力で、多品種少量生産を基本とする幅広い製品を展開している。レンジ、フライヤー、グリドル、スチーム・コンベクション・オーブンなどの熱機器を中心に、洗浄・衛生機器まで、あらゆる業種業態に対応する製品群をラインアップ。顧客ニーズを先読みした高機能な製品開発に定評があり、81年に発売した省エネタイプのフライヤーなど、ロングセラーも多い。製造部門にあたるマル厨工業㈱をグループ会社に擁し、首都圏・九州・東北に3工場を配置し、短納期かつローコストな製品化を実現。他に日本初のベーカリー総合メーカーの㈱フジサワ・マルゼンも傘下に持つ。また全国83営業所を拠点に営業網を張り巡らせ、外食チェーンをはじめ、ホテル、社員食堂、病院、学校などの給食現場まで、あらゆるマーケットをカバーする。

外食産業の未来を占う 産業を支えてきたビジネスサポーターたち
抜きん出た技術開発力と生産体制を活用し
厨房機器へのあらゆるニーズに対応していく

㈱マルゼン

取締役 研究開発センター部長
石﨑孝治

高付加価値な商品提案力とスピーディな開発力でお客さま第一主義を貫きます
──御社は業務用厨房機器の総合メーカーとして、多種多様な製品を世に送り出してきました。まずは厨房機器そのものが、今日のように多様化したエポックを振り返っていただけますか。

 私自身が起点のひとつと感じているのが業務用食器洗浄機の普及です。当社では1988年に発売を開始しましたが、当初は未だに手洗いが当然という状況でしたね。それが急速に市場を伸ばしたのは、人材不足や人件費の拡大、洗剤やお湯の使用量に対するエコ意識の高まり、労働環境の改善など、外食業界の変化の波と合致したのでしょう。そして厨房機器に対するニーズがどんどん広がり、多様化していくきっかけとなったと考えています。

──そうした歴史の中で、御社の技術力が広く知られる契機となった製品はありますか。

 発売は86年に遡りますが、業界初のコンベクションオーブンを搭載したガスレンジ「パワークック」ですね。それまでガスレンジの温度調節は料理人の勘に頼るところが大きかったのですが、操作を数値化することで誰でも簡単に取り扱えるようになり、商品の均質化が可能になったわけです。それまでのガスレンジを変える商品として注目され、現在もロングセラーとなっています。

──その後の御社の製品開発にも大きな影響を与えたわけですね。

 他社にはない付加価値の高い製品づくりに、これまで以上に尽力するようになりましたね。
 お客さまの「困っていること」を仔細に引き出し、さまざまな角度から問題を解決する機能性の高い製品開発に取り組んできました。
 技術革新にもタイムリーに反応し、最新の機能をいち早く搭載しています。そうした取組みがインパクトのある製品をつくり出し、他社との圧倒的な差別化要因となって、顧客拡大に成功してきたと捉えています。

──最近、とくに話題を集めた製品はありますか。

 2009年に発売したIH中華レンジですね。中華料理の調理は火力の面で電気は向いていないという常識を覆すべく、強火力と鍋底からの全体加熱を実現しました。
 さらに置いたまま調理できるため鍋振りが不要で、インジケーターで火力が表示されるので、パート・アルバイトでも完成度の高い商品がつくれます。本体の表面温度も熱くなりませんし、火災などに対する安全性や、エネルギー効率も非常に高い。操作性への細かい工夫も非常に好評で、有名中華料理店や大手チェーンにも導入いただいています。

──そうした技術力の他に、自社の強みをどう捉えていますか。

 開発スピードの早さ、そして価格競争力ですね。それらを可能にしているのが、開発部門を備えた近代的な工場を国内に3ヵ所擁していることです。特注品・規格品とも素早い生産に対応し、ローコストでの提供が可能な点は大きな優位性となっています。

──オーバーストア化が進む中、厨房機器のマーケットは、今後どのように変化していくと思いますか。

 当社に関していえば、これまで以上に開発のスピードを加速し、新製品を送り出していく考えです。新たな業種業態は次々登場していますし、技術革新も勢いを増しています。既存製品のブラッシュアップも含め、当社が開発の手を緩めることは今後もありません。

──省エネなど環境問題にはどのように取り組んでいますか。

 もちろん開発の際は省エネを意識しています。
 ただ最終的には空調関係を含めたトータルなエネルギー削減が必要と考えますから、システムごと総合的に提案できる製品づくりを今後は重視していく計画です。
 ガス、電気をはじめ、さまざまなエネルギーを使った製品を開発し、それぞれの利点を生かしながら提案していきます。

──いま厨房機器に求められている要素はどんなことですか。

 やはり食の安全性には、年々関心が高まっていますね。食材の芯部まできちんと熱を通すといった安全・安心のさらなる訴求が、これまで以上に求められています。
 また基本的なことですが、清掃しやすい形状の製品をつくることで、クレンリネスを維持できるようにすることは重要です。
 機能の追求だけでなく、お客さまに正しく衛生的な環境で利用していただくことも私たちの責務と考えています。

──少子高齢化など社会の変化を踏まえて、外食産業に対しては、今後どのようにアプローチしていく計画ですか。

 外食が日常食に代わるか否かが問われる中、「心を満たすこと」も大切な役割になると思います。
 たとえば、少子高齢化を見越して当社は、医療や介護施設用の温冷機能付きの配膳車の製造も行なっています。温かいものは温かく、冷たいものは冷たくという配慮はもちろん、毎日の食事ですから、食を楽しんでほしい。グループ会社にベーカリー機器メーカーを擁する強みでパン焼成機を安く提供し、焼き立てパンを楽しんでもらう提案なども行なっています。

──御社の今後のビジョンを教えてください。

 当社のモットーはお客さま第一主義であり、オペレーションやコストの問題も含め、コンサルティングに引き続き力を入れていきます。
 また、チェーン展開されている企業との共同開発に取り組む一方で、個人店などあらゆるお客さまに当社の製品をご利用いただけるよう、それらの規格化も意欲的に進めています。「厨房から外食を元気にする」という意気込みで、私たち自身が元気な企業であり続けることで、外食の活性化に貢献していきたいですね。
 
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