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INTERVIEW

DATA

ニチワ電機㈱
兵庫県三田市テクノパーク12-5
☎079-568-0581
創業:1949年8月
資本金:5000万円
事業内容:電気厨房機器の総合メーカーとして、高品質な厨房機器の開発とコンサルティング力で外食業界の発展を支える
http://www.nichiwadenki.co.jp/

 1949年の創業時から電気厨房機器の設計製作を核事業としてきたニチワ電機㈱。日本初のスチーム・コンベクション・オーブンを開発するなど、総合電気厨房機器のトップメーカーとしてその名を知らしめている。大手外食チェーンや一流レストランをはじめ、ホテル、給食施設など、幅広い最新の厨房機器を提供。すべて自社製品で、実績に裏付けされた技術力は常に高い評価を得ている。
 兵庫県三田市・尼崎市の2工場を拠点に、最新の設備による一貫生産体制を構築。JIT(ジャストインタイム)システムを導入することで、多品種・少量生産を行ない、スピーディな納品、徹底したコストダウンを実現している。また新調理システムの普及にも力を注いでおり、新調理システム推進協会の事務局も兼ねている。コンサルティング部門を擁し、メニュー開発、HACCPシステム、厨房設計、店舗運営まで、あらゆるコンサルティング業務にも対応。こうした総合力が同社の特徴であろう。

外食産業の未来を占う 産業を支えてきたビジネスサポーターたち
業務用電気厨房機器の先駆けとして
外食産業の足元を支え続ける

ニチワ電機㈱

常務取締役 営業本部長 コンサルティング部長
西 耕平

高品質な電気機器を通し次代の食を創造するソリューションを提案
──御社は業務用電気厨房機器の老舗専門メーカーとして業界をリードしてきました。まず外食業界に本格的に電化厨房が普及した当時を振り返ってください。

 外食産業が成長期にあった1980年代初頭は、厨房内のエネルギー源はガスが主流でした。しかし80年代半ば頃から、安全性の面で電化厨房が注目されはじめたのです。同時に、大手外食チェーンがコンベア・オーブンを導入したり、海外からスチーム・コンベクション・オーブンが紹介されたりしました。

──電化厨房が広がりを見せたのは90年以降ということですね。

 90年代は厨房環境の改善が強く求められた時代でした。まずバブル景気の人手不足で、外食業界は何とか人材を確保しようと、涼しくて清掃しやすい電化厨房をこぞって導入したのです。さらに96年のО–157事件で、オール電化の学校給食施設が登場するなど、大量調理の現場にも電化厨房が広がりました。

──パイオニア的企業として御社が脚光を浴びたのもこの頃ですね。

 電磁調理器など業界に先駆けた製品を発売し、“実力企業”として認知されました。また25年前からコンサルティング部門を設けていた点も、顧客を拡大する要因となりました。メンバーにはシェフ、管理栄養士、ソムリエなど専門家を揃え、現在でもファストフード(FFS)から老舗料亭まであらゆる業態のコンサルティングに対応しています。

──市場ニーズの変化をどう捉え、顧客に提案する際、それをどう生かしていますか。

 先ほども申しましたように、90年代は企業が生産性の追求や人手不足解消のために電気厨房機器を採り入れた時代でした。しかし現在は電気厨房機器によるクオリティコントロール、つまり品質管理の時代に入っています。この品質管理と生産性向上こそが当社の最大の武器であると自負します。

──各製品は顧客の声を反映させて開発するのですか。

 まずユーザー側の標準作業をもとに、機器をご提案していきます。活用範囲の広い多機能な機器をベースにして、たとえばFFSなどであれば、構成比が高い商品に焦点を絞った専用機器などを提案します。

──最近開発された製品で、とくに一押ししているものはありますか。

 業界で初めて開発した電気のスチーム・コンベア・オーブンです。従来のコンベア・オーブンは生産効率を上げるために強い風量が必要で、商品が乾燥してしまうことが課題でした。そこでこのオーブンでは無風加熱の仕組みを導入し、かつ入口で過熱蒸気を与えて、高温の蒸気で蒸し焼きし、最後にいぶし焼きをするシステムを開発しました。この工程で食材の水分を閉じ込め、旨みが最大限に引き出されるのです。

──開発したきっかけは?

 品質に対する消費者の舌が肥えたことが大きいですね。たとえば低価格のハンバーグ業態でも、肉汁が溢れるようなジューシーさがないと集客が難しい時代です。では低価格業態で、いかにこうした商品を提供するかというと、材料や配合の工夫に加え、素早く大量に、しかもパート・アルバイトでも焼成できる機械が必要になるわけです。

──御社の技術力が随所に生かされているのですね。

 コンベア・オーブンの生産性は維持しながら、簡単な操作で高品質の商品を安定的に提供できる技術を実現しました。また焼成時間が通常6分かかるところを、4分弱で肉汁の出るハンバーグをつくることがでます。一方、ピッツァなどに関しても焼成時間や品質についてのデータを取り、最適な時間と温度を精査。さらに生産効率を上げるため、調理が難しいとされる「炒める」工程がこのオーブンでできないかといったことを検証します。

──まったく違う調理の商品が同時につくれる、と。

 ええ。電化厨房の開発を専門としてきた当社では、調理工程によって必要な温度帯をカテゴリー化しています。具体的には100℃までが茹でる、蒸す、真空調理。150℃までが煮る、炊く、煮込む。230℃までが炒める、軽く焼く、揚げる、それ以上の温度が、焼くと。つまりハンバーグとピッツァは当然ですが、工夫をすれば炒め物料理も同じ温度設定で加熱調理することも可能になるのです。

──工夫を凝らせば、応用範囲はもっと広がりますね。

「○℃で□分加熱し、余熱で△分」という詳しいマニュアル付きのレシピを作成しますので、簡単なオペレーションで完成度の高い商品ができあがる仕組みです。ですから、オーブン1台の投資で、メニューの幅もぐんと広がると思いますね。また、これまでと同じ食材を使用しても、仕上がりが驚くほど違うという声をいただています。

──電化機器に特化してきた御社ならではの技術といえます。

 ガスは“火加減”というように感覚に頼る部分がまだ多いですが、電気は温度と時間が明確に数値化されます。調理の計数管理という意味では、新調理システムと同じ理論です。いわばTT(時間と温度)管理を機械化したわけで、クオリティにブレがなく、まさに品質管理の時代にフィットしていると思いますね。

──今後メーカーとしてどのように貢献していきたいと思いますか。

 もちろん、より機能性に優れた厨房機器を開発していくことが一番の使命です。当社のコンサルティング部門にはさまざまな専門職が揃い、メニュー開発やプロの視点によるメニュー試食、工場の製造原価の計算に至るまで、裏方的なお手伝いをすることも少なくありません。これらを通し、よりいい機械をお客さまに提供したいというモチベーションが一層高まるのです。今後もあらゆる角度から、外食業界の発展に寄与していく意向です。
 
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